昨日、市役所で新しい身体障害者手帳をもらってきたんです。今までは視覚障害4級だったんだけど、1級になっちゃったんです。1級と言うと重度の身体障碍者でそれ以上の等級はありません。僕は最も重い障害を持っているということになってしまったんだけど。
ちなみに視力の基準は、4級が両眼の視力が0.09以上0.1以下、1級が両眼の視力が0.01以下です。先月、久しぶりに眼科に行ったら先生から「もう1級の視力だよ。手帳を更新しよう」といわれて、そうなったわけなんだけど。
つまり、両目で診て0.01以下の視力しかないってことですね。「じゃあ、0.01ってどのくらいのものが見えるの?」ということだけど、中心部はほとんど何も見えません。
例えば誰かと向き合って会話をしていて、その人の顔に視線を向けたなら、顔が消えて見えるんですよ。それこそ首を切られた鬼のようなビジュアルです。これは脳の錯覚ですけど顔の部分はちゃんと後ろの背景が見えるんです。そしてそれは鏡で自分の顔を見ても同じです。
視線をお腹あたりまで落とせば顔は見えます。視界の周辺部は何となく見えるんです。でも、鏡に向かってお腹を見ながら化粧ってできないでしょ。
中心部が見えないというのはそんな感じですが、なので書類は読めないし、通りを歩いていて看板も信号も見えないし、前から歩いてくる人や自転車や車が見えてなくて直前で突然気が付いたりします。結構怖いです。
仮に昨日視力が1.0だったのに今日0.01になったら、きっと何も見えなくて、それこそ目の前が真っ暗になったと、人生終わったと悲しく感じるかもしれないですね。でも僕の場合は網膜色素変性症という進行の速度がとてもゆっくりな病気です。何十年もかけて徐々に悪くなってきているので、見えないことに慣れちゃうんです。
障害年金の申請
障害者手帳が1級になったきっかけで、障害年金の受給の手続きも始めているんです。そのために昨日は社労士の先生に話を聞いてきたわけです。これから何か月かけて先生の指導で申請に必要な資料や書類をそろえていくのですが。
例えば、初診日がいつだったか証明しないといけないので、神奈川のころにお世話になっていた病院の先生に手紙を書いたり、いろいろやることはあります。
できないことリスト
ちなみに障害者手帳の等級と障害年金の等級は別物です。なのでこれから書類を用意して審査してもらうんだけど。そのために目が悪くなって何ができなくなったのか、日常生活を送るうえで障害のために不自由に感じたことやつらかったこと、気を付けていること、家族の助けが必要なこと、日常生活で出来なかった動作など、そういったことを文章にまとめないといけないんですけどね。
上にも書いたように長い年月でそうなっているんです。見えているときがどうだったか忘れているんです。というか、あえて忘れようと自分の脳みそがそうしてくれているはずなんですよね。だって今の現状と良かった時の記憶をいつも比べていたら、常に悲しい気持ちになっちゃうしね(笑)
何が普通科は人によって違う
今こうやって文章を書いていて、タイプした文字は眼で見て読めません。「そんなことあるの?」って普通の人は思うでしょう。でも僕にはそれは普通で、代わりにタイピングするたびにパソコンのスクリーンリーダーというソフトが音声で何を書いているか教えてくれるんです。それを頼りに文章を書くのが僕にとっての普通なのです。
ただ、僕と同じ視力の人がみんなスクリーンリーダーを使ってブログを作っているかといったら、そんなことはないです。あるいは、目が悪いから弁当なんか作れないと思う人のほうが多いかもしれないし、見えないのに外に出て走るなんて危ないからできないって思うのが普通だとは思いますが。でも、そりゃたまに溝に落ちたり犬のウンチを踏んだりするけど、だからってできないとは僕は思わないんです。
できるできないじゃなくするかしないか
逆に、僕が見えないからできないと思っていることをすらすらとこなしている人もいるでしょうね。何ができるかできないかというよりも、するかしないかであって、すると決めたら見えなくたって何とかしてするものなんですよ。と僕は思っちゃうんです。だってそれこそベートーベンが耳が不自由なのに作曲をしていたなんてこともあるんですしね。
つまりですよ。見えていないことは同じでも、何ができるかできないかは人によって違うのです。
例えばスーパーで、売り場の看板も読めないし、もちろんポップの文字も値段も見えません。商品ラベルなんか言わずもがなです。だから買い物はできないと思うこともできるし。でも、いつも行っているスーパーで店員さんの助けも借りながらいつものものを買うなら買い物はできるって言えちゃうしね。で、僕はそうしているし。
そして、昔から自己啓発をしてきたし、できないと思わない思考習慣になることを意識し続けてきましたからねぇ。つらいって思わない癖もしみついています。なので「できないことリスト」を書けと言う社労士の先生からの宿題はけっこうハードルが高かったりします(笑)
でも、できないことなんかない。するかしないかだ。なんていう考えでは、障害年金の手続きには著しく不利になってしまうわけで。なので、ここはきっとこれが普通の人の感覚だろうというように、意識を変えながらできないことリストを書いてみようと思います。
それをすると決めたらきっとできるでしょう(笑)